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研究室について
都市エネルギーシステム計画に関する研究
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●研究の背景

 地球温暖化対策として温室効果ガスの削減が叫ばれている中、我が国の民生部門(業務、住宅)のエネルギー消費は堅調に伸び続けており、業務や住宅の集積する都市部において抜本的な省エネルギー対策を実施することが重要となっています。また一方、太陽光発電やコージェネレーションといった分散型発電技術やヒートポンプ型空調・給湯技術は、高効率化・低廉化・小型化が近年大きく進展してきており、業務や住宅といった規模の小さな需要家にも様々なエネルギーシステムの選択肢が広がってきています。

●研究の概要


 本研究グループでは、右図に示すような都市部のある特定地域(数km×数km)に着目し、地域内のエネルギー消費に伴う、経済性、省エネルギー性、CO2排出削減を同時に達成できるような「総合エネルギーサービスシステム」を提案しています。そのための多目的最適計画モデルとして、業種毎に様々なエネルギーシステム代替案を定義した上で、地域の視点から経済性、省エネルギー性、CO2削減をバランスすることのできる都市エネルギーシステム計画モデルを開発しています。

●主な研究成果


 「電源構成を考慮した総合エネルギーサービスシステム」:多数の特定地域において都市エネルギーシステム計画が行われるようになると、電力会社の電源構成にも影響を与えることになります。電力会社の電源構成はスクリーニング法に基づき変更されるという仮定の下、近畿地域における多数の小地域において都市エネルギーシステム計画を行った結果、基本的には地域全体のCO2排出削減にも効果的であることを明らかにした。ただし、原子力発電の増設に制約がある場合には、夜間電力を利用して蓄熱を行うシステム(電気温水器や蓄熱式空調)を大規模に導入してしまうとCO2排出は逆に増加してしまう結果となった。

 「エネルギーシステム代替案の競合性評価」:通常、最適化モデルの解としては、ユニークな最適解が一意に決定されますが、一般にその最適解の周辺にほぼ同等な目的関数値をとるような解が多数存在しています。そのような解を定量的に分析する手法として、あるエネルギーシステムに注目しその導入シェアが最も高くなるような解(解モード)を求め、最適解の目的関数値(コスト)と比較することにより、着目するエネルギーシステム代替案の最適解に対する競合性を評価する手法を開発しました。例えば、右図のグラフからは、住宅部門ではCO2削減率が10%程度までは、太陽光発電を除く他の解モードは最適解に非常に近接しており競合性が高いことがわかります。

●主要論文


1) 「電源構成を考慮した総合エネルギーサービスシステム導入によるCO2削減ポテンシャル」:池田 和俊、杉原 英治、辻 毅一郎 (電気学会論文誌B Vol. 124, No. 8, pp.1049-1058 2003)

2) 「省エネルギー性および環境負荷削減からみた都市エネルギーシステムの競合性評価」:杉原 英治、冨岡 創、辻 毅一郎 (電気学会論文誌C Vol.125, No.10, 2005, pp.1573-1580)

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